プラーナという考え方があります。
これを一番に体感できるのが
私にとって、ふるさとの空気です。
私の実家は東北ですが、
新幹線の最寄りの駅を降りた瞬間、
その「空気」に強烈な懐かしさを感じます。
日本の田舎ならどこも空気は同じだと
思ったら、それは大間違いです。
その土地の自然の植生が醸し出す
独自のアロマがあるのです。
夏のけむるような草の匂い
木が放つ樹液の匂い、
田んぼの匂い、畑の匂い
全てが渾然一体となった時
懐かしい田舎の「空気の味」となって
私の心を震わせます。
肺全体が膨らむくらい
深い呼吸を1つしてみます。
田んぼのヤゴ、用水路のタニシ、
シロツメクサ、アカツメクサ、ヨモギ、
松ぼっくり、カブトムシ、セミ、
コガネムシ……
幼少期の風景が次々とよみがえります。
ここは「私」を作った土地、
細胞が震えるように喜びます。
「空気」だけでお腹いっぱいです。